子育て幽霊

 昔々、一軒のあめ屋がありましたと。

 ある日のこと、一人のやせこけた女のひとが、夜遅くたずねてきて、
 「あめを少しわけて下さい。」
 といって一文銭を出しました。

 それから、こんなことが四、五晩続きましたが、ある夜のこと、
 「これでもう、持っていた六文の銭もなくなった。あめも買えない。」
 とつぶやいて帰っていきました。

 それを聞いたあめ屋は、変なことをいうと思って、見えがくれに後をつけていきました。すると墓場のところで、スウッと消えてしまいました。ふしぎなこともあるものだと、そのままあめ屋は帰って来ました。

 翌日、夕べ女のひとが消えた所の墓を掘ってみました。その中に赤ん坊がいて、あめを食べています。横に母親らしい女の死がいがあり、首にさげているはずの六文銭が一つもありません。よく見ると数日前に亡くなった妊婦【赤ちゃんをお腹に持っている女の人】です。

 死んでから墓の中で、子供が生まれたのです。
 それであめ屋はかわいそうに思って、その赤ちゃんを家へ連れて帰り、だいじに育てました。

 その後赤ちゃんは大きくなり、とても幸福な人になりましたと。